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「外字エディタ」(または「外字エディター」)は、「メモ帳」などと同じ、Windows の 付属アプリ(プログラム)です。
個人などで作成する自由な字形の文字を「外字」といいます。
「外字エディタ」は、外字の字形を作成し、Unicode や Shift_JIS で定められた領域内の 自由な位置に登録したり
フォント経由で個々の字形を表示させて 文字として利用する、などの 準備をおこなうことができます。
現行の Windows 10 にも(もちろん Windows 8.1, 7, Vista にも)付属していますので、起動方法さえ把握していれば 従来と変わらず利用できます。
(Windows XP や 7 では システムメニューの「アクセサリ」項目(Windows 7 ではさらに「システム ツール」内)に入っていましたが
Windows Vista や 8 以降は 利用頻度の低下からか アクセサリ項目から外れているため、起動するには一定の手順(後述)が必要になっています。)
なお Windows Vista までの「外字エディタ」は、Windows 7 から「外字エディター」へと表記が変わっており
アイコンのデザインも変わっています。(実際のプログラム名は「eudcedit.exe」で共通です。本稿では基本的に「外字エディタ」と表記します。)
Windows XP
外字エディタWindows Vista
外字エディタWindows 7
外字エディターWindows 8.1
外字エディターWindows 10
外字エディター
上の画像は、起動直後の初期表示となる「コードの選択」画面、および、よく使われる3種類の画面状況を示しています。
次の画像は 念のため プルダウンメニューの状況を、各システムごとに捉えたものです。
Windows XP Windows Vista Windows 7 Windows 8.1 Windows 10
プルダウンメニューでの相違点は、XP / Vista 間で「編集(E)」に「TextService のリンク(T)...」が追加されているほかは、特に無いようでです。
(ちなみに「TextService のリンク(T)...」につきましては こちら や こちら が参考になるものと思われます。)
「外字エディタ」の実際のプログラム名は「eudcedit」(イーユーディーシーエディット)といいます。
「eudcedit」は、前半部の [eudc] と、後半部の [edit] に分けることができます。後半部の [edit] は [エディター] のことですね。
では前半部の [eudc] とは何かといいますと、[End User Defined Characters:エンドユーザー定義文字]、つまり [外字] のことです。
合わせて [外字][エディタ]、そのまんまですね。略称も意味がわかればスペルミスなども少なくなりますので、覚えてしまいましょう。
「外字エディタ」の起動方法は、大きく分けて 次の4通りがあります。
1. システムメニューから開く方法
2. システムの検索窓に検索ワードを入力し、検索結果から起動する方法
3. システム付属の機能「ファイル名を指定して実行」を利用する方法
4. プログラムの本体で直接起動する方法
(備考) 起動に際して:(Windows Vista)
1. システムメニューから開く方法
もっとも簡単な起動方法ですが、この方法は Windows XP までと Windows 7 だけに装備されているものです。
残念ながら他のシステムの標準設定では利用できません。
Windows XP の場合
「スタート」ボタン >「すべてのプログラム」>「アクセサリ」の中の「外字エディタ」を選択すれば起動できます。
Windows 7 の場合
「スタート」ボタン >「すべてのプログラム」>「アクセサリ」>「システム ツール」の中の「外字エディター」を選択すれば起動できます。
Windows XP Windows 7
2. システムの検索窓に検索ワードを入力し、検索結果から起動する方法
検索ワードには 実際のプログラム名(「eudcedit」)を用いる方法と、日本語名のキーワード(「外字」など)を用いる方法とがあります。
(※ Windows XP にも検索機能はありますが、検索方式が古く、時間がかかるためお薦めできません。別項1または3の方法をお薦めします。)
2-a. 検索ワードに 実際のプログラム名「eudcedit」(イーユーディーシーエディット)を用いる
プログラム名は重複することが少ないので、こちらのほうが一般に確実性の高い方法といえそうです。
(スペルミスの無いように入力してください。)
2-b. 検索ワードに「外字」など 日本語名のキーワードを用いる
検索ワードには日本語名が使えるので「外字エディター」と全部入力しても構いませんが、入力は短く「外字」まででも十分です。
Windows 10 や 8.1 の場合は、漢字変換をおこなう手前の「がいじ」まで入力した段階でも 検索結果の候補が表示されます。
(Windows Vista の日本語キーワード検索では、外字エディタなどは対象外のようです。前項 2-a.のプログラム名で検索してください。)
検索をはじめる手順につきましては、Windows のシステムごとに異なる方式が採られていますので、個別に説明していきます。
以下、いずれも検索窓に入力して 検索結果に「eudcedit」または「外字エディタ(ー)」が表示されたら、選択すれば起動できます。
Windows 10 の場合
標準仕様では画面最下段のタスクバーにある 虫眼鏡マークの検索窓に、検索ワードを入力します。
(検索窓の初期表示は「ここに入力して検索」(または「検索するには、ここに入力します」)となっています。
タスクバーに検索窓がなく虫眼鏡マークのアイコンになっている場合は、虫眼鏡のアイコンをクリックすれば検索窓が表示されます。)日本語で検索した場合(画像右端)、「外字」までしか入力していなくても、後続の「エディター」の語が補われます。さらに検索結果では
アイコン表示がフォントフォルダのようになっており、「コントロールパネル」との表示もありますが、選択すれば「外字エディター」が起動されます。
Windows 8.1 の場合
画面の右上隅または右下隅をマウスでポイントすると、画面右側から「チャーム」と呼ばれる半透明なアイコン表示域がスライド表示されるので
素早くチャーム内にマウスのポインタ矢印を移動し、チャームが黒色になったら虫眼鏡マークの「検索」アイコンをクリックします。
すると画面右側から緑色の「検索」帯がスライド表示されるので、上部にある 虫眼鏡マークの検索窓に、検索ワードを入力します。日本語で検索した場合(画像右端)、アイコン表示がフォントフォルダのようになっていますが、選択すれば「外字エディター」が起動されます。
(上の4画像は画面の右端側を捉えたもので、要点の明確化のためにシステムの画面サイズを小さめに変更して撮影しています。)
Windows 7 の場合
画面左下の「スタート」ボタンを押すと開く 虫眼鏡マークの検索窓に、検索ワードを入力します。
(検索窓の初期表示は「プログラムとファイルの検索」となっています。)検索結果の「プログラム」欄に、検索ワードに応じた [eudcedit] または [外字エディター] が選択状態で表示されますので、選択すれば起動できます。
Windows Vista の場合
画面左下の「スタート」ボタンを押すと開く 虫眼鏡マークの検索窓に、検索ワード(プログラム名「eudcedit」)を入力します。
(検索窓の初期表示は「検索の開始」となっています。なお 日本語キーワード検索に関しては 外字エディタなどには未対応のようで、使えません。)検索結果の「プログラム」欄に、検索ワードに応じた [eudcedit] が選択状態で表示されますので、選択すれば起動できます。
Windows Vista では
プログラム名「eudcedit」のみ検索できます。
キーワード「外字」等の検索は無効になります。
3. システム付属の機能「ファイル名を指定して実行」を利用する方法
「ファイル名を指定して実行」機能を使って 外字エディタ を起動するには、表示された画面の「名前(O):」欄に
外字エディタ の 実際のプログラム名「eudcedit」(イーユーディーシーエディット)を入力して Enterキーまたは「OK」を押します。
「ファイル名を指定して実行」機能を手早く表示させるには、[Windowsキー+R]
(キーボードの [Windowsキー] を押しながら [R] キーを押す操作)の「ホットキー」機能を使うのが簡単です。
Windows XP Windows Vista Windows 7 Windows 8.1 Windows 10
この「ファイル名を指定して実行」機能も、Windows の付属アプリのようなものですが
より正確には、アプリ:実行型プログラム(.exe) ではなく、Windowsコンポーネント と呼ばれる、システムが持っている機能だそうです。
(固有の画面はありますが、別個に「起動」させるものではないので、ここでは「機能」「表示」の語を使って区別しています。)
この「ファイル名を指定して実行」機能の「ホットキー」による表示方法は、常に覚えていられればいいのですが、なかなかそうもいきません。
このため、画面からアクセスしやすい 前項2.の「検索」のほうが、有利な場合が多いといえそうです。
ちなみに、「ファイル名を指定して実行」機能を 前述のホットキーではなく「スタート」ボタンを押して開く システムメニューから表示させたい場合、
そのメニューの構成等は、Windows システムの違いにより異なる場合があります。ご利用の場合には、以下の画像を参考に表示させてください。
(ただし、特に Windows Vista 以降のシステムメニューからこの機能を使うのは、操作が煩雑なため、前項2.の「検索」よりも遅くなるようです。)
Windows XP の場合
「スタート」ボタンを押すと システムメニューの右側に見える「ファイル名を指定して実行」を選択すれば表示できます。(「ファイル名を指定して実行」の上に「検索」も見えていますが、Windows XP では検索方式が古く 時間がかかるため、お薦めしていません。)
Windows Vista の場合 (Windows 7 の場合と同様)
「スタート」ボタン >「すべてのプログラム」>「アクセサリ」の中の「ファイル名を指定して実行」を選択すれば表示できます。(こうするよりもシステムメニュー最下段で「検索の開始」となっている検索窓に直接入力して検索したほうが確実に早くできます。)
Windows 7 の場合 (Windows Vista の場合と同様)
「スタート」ボタン >「すべてのプログラム」>「アクセサリ」の中の「ファイル名を指定して実行」を選択すれば表示できます。(こうするよりもシステムメニュー最下段で「プログラムとファイルの検索」となっている検索窓に直接入力して検索したほうが確実に早くできます。)
Windows 8.1 の場合
「スタート」ボタンを押すと表示される「スタート」画面の左下にある下向き矢印 [↓] を押して、「アプリ」画面を表示します。
「アプリ」画面の中の「Windows システム ツール」の項にある「ファイル名を指定して実行」を選択すれば表示できます。(上の画像では要点の明確化のために、一部の画面サイズを変更しています。また「アプリ」画面の画像は 右方向へスクロールさせた状況です。)
Windows 10 の場合
「スタート」ボタンを押すと表示されるシステムメニューの中央部を縦にスクロールして、[W] の項にある「Windows システム ツール」を探します。
「Windows システム ツール」の右側にある下向き三角をクリックして開き、その中の「ファイル名を指定して実行」を選択すれば表示できます。(こうするよりも最下段のタスクバーで「ここに入力して検索」となっている検索窓に直接入力して検索したほうが確実に早くできます。)
4. プログラムの本体で直接起動する方法 (やや上級者向け)
プログラムの本体から直接起動する、というのは、もちろん「確実」には違いありませんが、前述の方法に比べると
本体を探すのに意外と手間がかかりますし、万一の誤操作などがあれば 危険を伴う 場合もありますので、注意が必要です。
まず フォルダ等を開くための エクスプローラ(フォルダの形をしたアイコン;Windows エクスプローラ)の画面を表示します。
(Windows XP の場合は「マイ コンピュータ」から入るのが良いでしょう。)
次に([PC] の中の)[ローカル ディスク (C:)] の中にある [Windows] フォルダの中の [System32] フォルダを開き
その中にある 外字エディタ の本体「eudcedit」を選択して、Enter(Return)キーを押すか、ダブルクリックすれば起動できます。
Windows XP
[system32]Windows Vista
[System32]Windows 7
[System32]Windows 8.1
[System32]Windows 10
[System32](フォルダ名の先頭は小文字)
※ [System32] フォルダの中は、格納されているファイルの数が格段に多いため、対象を探すのには意外と時間がかかります。
[Windows] 以下のフォルダにはシステムの重要なファイル等が入っていますので、誤操作などのないよう 特にご注意ください。
※ 頻繁に使うなどの場合は、[eudcedit] 本体へのショートカットを作成してデスクトップに置いたり
システムメニュー等に登録して起動しやすくする、などの応用も可能です。
(備考) 起動に際して:(Windows Vista)
上図は「外字エディタ」を起動した直後の状況です。 必ず「コードの選択」の画面表示で始まるようになっており、左上の「文字セット:」欄は「ShiftJIS」が選択されています。 さらに「コードの選択」画面で表示されたコード位置の先頭は「F040」となっています。 これは、このまま進めば Shift_JIS での「ユーザー定義外字領域」の先頭のコード(0xF040)が選択される、ということを示しています。
※ なお、4行目の右端の位置 F07F には文字のマスがありません。これは Shift_JIS の仕様上の特徴である「シフト」に基づき 規則的にあらわれる、文字にならない「抜け」となっているコード位置を示したもので、他にもあり、正しい表現です。(詳しくは後述)
ここでは、画面上段部分、および、「コードの選択」画面の下段側([OK][キャンセル]ボタンの上)に 同様の3つの表示欄(「コード:」「フォント:」「ファイル:」の各欄)があることも把握しておいてください。 画面上段側の「コード:」欄は、はじめは空欄となっています(そのため表示幅を切り詰めた格好になっています)が、 選択したコード位置の字形編集画面に入ると、表示幅も広がり、そのコードが表示されるようになっています。
また、起動直後の「フォント:」欄は「すべて」になっており、「ファイル:」欄は「EUDC」になっています。 この「フォント: すべて」というのは、実は選択可能な「すべてのフォントにリンクする」と「指定したフォントにリンクする」の 2つの方法のうち、前者の「すべてのフォントにリンクする」の方法が、はじめから(暗黙的に)選択されている、ということを示しています。
※ これら選択可能な2つの方法のうち「指定したフォントにリンクする」につきましては、別項「推奨される使い方」にて詳述しています。
また「ファイル: EUDC」というのは「外字ファイルの名前」を示しており、現在編集しようとしている外字ファイルには 既定の「EUDC」という名前を持つ外字ファイルを、はじめから(暗黙的に)選択している、という意味になっています。
※ この既定の「EUDC」外字ファイルは、実際には拡張子の異なる [EUDC.TTE] と [EUDC.EUF] のペア で構成されています。これらは システムの「フォント」フォルダ内に置かれることにより「すべてのフォント」で外字が表示されるようになるのですが、その中では 一般のフォントとは区別する必要からか「不可視ファイル」として扱われるため、一般的な方法では 見ることができないようになっています。
この「フォント: すべて」と「ファイル: EUDC」という2箇所の表示から、毎回の起動直後には 基礎的な使い方(次項)を、はじめから(暗黙的に)選択している、ということが示されていることになります。
このように「外字エディタ」には、利用時に意識されるよう明示される設定値が複数ありますが 特に 起動直後には毎回、初心者向けともいえる 基礎的な使い方 が優先的に利用されるよう 方向付けがなされる仕組みになっている、と捉えることができます。
簡単にはじめたい場合は、起動直後の「コードの選択」画面で そのまま「OK」を押せば
先頭位置(Shift_JIS: F040)の字形編集画面が表示されるようになっています。
(起動後そのまま「OK」を押した、ということは、実は、プルダウンメニューの「ファイル(F)」から開くことのできる 「フォントのリンク」画面で選べる「すべてのフォントにリンクする」/「選択したフォントにリンクする」のうち 「すべてのフォントにリンクする」を選択したことになっている、ということを意味しています。この意味については別項に譲りますが この状況は、画面上部に見える簡略化された「フォント:すべて」との表示により、常に意識できるようになっています。)
ここに何らかの字形を描いて保存するだけで、それ以降、このコード位置を文字として扱う際には 基本的には「すべてのフォント」を対象に、その字形の外字が表示されるようになります。
(MS-IME の「IME パッド」を使った、[MS UI Gothic]フォントでの Shift_JIS「外字」領域の表示例。)
「すべてのフォントにリンクする」では、フォントを切り替えても [0xF040] の位置には 多くのフォントで 同じ外字が表示されることになります。 ただし「すべてのフォント」は「完全にすべて」ではなく、フォント独自のベンダー外字を持つフォントではベンダー外字が優先される場合が多いですし 後述する「フォントのリンク」により他のユーザー外字ファイルと個別にリンクしている「指定したフォント」でも、個別リンクの外字が優先されます。 なお ベンダー外字のフォントによっては逆に、独自仕様のベンダー外字よりも 個人仕様のユーザー外字が優先されるものもあり、一様ではありません。
なお、上図の先頭のコード位置 - Shift_JIS「ユーザー定義外字領域」の先頭(0xF040) - は Unicode では「私用領域」の先頭(U+E000)にあたりますので、Unicode でもそのまま使うことができます。
(ただし Shift_JIS の外字は 1880字、Unicode の外字は 6400字 なので、両方で使えるのは 先頭から 1880字 までです。)
また「IME パッド」のコード表では、Shift_JIS の特徴である「シフト」に基づき規則的にあらわれるコード位置の「抜け」の箇所 (Shift_JIS 0xF07F , 0xF0FD,F0FE,F0FF , 0xF100-F13F , 等々) が、U+30FB「中黒」(0x8145、字形は[・])によって埋められています。このため Unicode「私用領域」で見た場合には、コード表での表示位置が 64文字め(0xF07Fの抜け) 以降で 徐々に詰まり、ズレていくように見えます。 なお、この現象は「抜け」となっているコード位置が「シフト」の仕様により詰まり、コード表の上で「見た目でズレているだけ」です。 Unicode は基本的に Shift_JIS など旧来の文字コードを拡張して継承しているので、実際の文字が欠落することはありません。
この「すべてのフォントにリンクする」に基づく方法は「簡単に始められる」ことが最大の利点ですが 後述の「指定したフォントにリンクする」で実現できる、多少は小回りの効く方法に比べると 初心者向けで、やや大雑把な方法、ということになりそうです。
前項では「簡単に始められる」ことを優先したため、規定値の Shift_JIS のままで進めましたが
実は 外字を一度に扱えるコード位置としての 登録可能な字数には、違いがありました。
あらためて確認しておきますと、Shift_JIS では 1880字、Unicode では 6400字 となっています。
(これは日本語仕様の Shift_JIS よりも漢字の異体字などで外字利用の多かった中国語系文字コードの仕様を Unicode が引き継いだものと思われます。)
また、Shift_JIS には 仕様上の特徴である「シフト」に基づき、文字にならないコード位置の「抜け」があり
Unicode のコード表で見る際には、見た目の文字の配置に影響を及ぼす、ということがありました。
(規則的にあらわれる「抜け」の先頭は Shift_JIS 0xF07F で 64文字め にあたるため、Unicode で見ると、それ以降は徐々にズレるのでした。)
以上から、登録字数が多くなるような場合には、コード表での文字の配置にも 計画性を持たせるよう
事前に考慮しておくと、あとで使いやすくなることが期待できます。
そのためには、字数が多くて「抜け」もない、Unicode を選択 された上での字形登録を、ここではお薦めしたいと思います。
とはいえ、問題になるのは「字数が増えたとき」の話ですから
字数が増えないことが確実なら、考慮する必要もありません。
また、ある程度の字数が すでに外字として登録された「字数が増えたとき」の状況が見えないと
実際のところ どのくらいの字数から影響があるのか、説明だけではイメージしにくいだろう、とも思われます。
そこで以下では、当方作成アプリの「外字サポーター」に付属している外字ファイル「occhann'sGaijiSample」に登録した
Unicode 向けの配置の画像を使って説明したいと思います。(外字ファイル単体(EUF+TTE,zip圧縮)のダウンロードは こちら から。)
ここまでの説明とは順序が逆になりますが、次の画像は Unicode 向けに配置した外字(左図)を
逆に Shift_JIS のコード表の配置で見た場合(右図)と対照できるように示したものです。(撮影環境は Windows Vista)
元々の Unicode 向けの配置(左図)は、おもに左側の 0~9 の範囲に古代の数字(種類によっては 0~5 で済むものや 0~A まで使うものなど様々)を置き
右側の A~F の範囲には テスト用として 外字登録時に字形の精度(解像度)を変更したものや 変体仮名の字形などを 右詰めになるように配置しています。
当方作成アプリ「外字サポーター」によるコード表 (左:Unicode、右:Shift_JIS)
右図では灰色のマスが「抜け」にあたる箇所で、左図と比べると「抜け」が入った分だけ 配置の上では 徐々にズレていっているのがわかります。
また右図をよく見ると 0xF0F0 の次の行が 0xF140 となっており、F100~F130 の4行分がありません。実はこれも「抜け」の部分なのですが
やはり実際の文字にはならないため、当該アプリではこの4行を灰色のマスにはせず割愛しています。そのため左図との差異も次の図ほどではありません。
MS-IME の「IME パッド」によるコード表 (左:Unicode、右:Shift_JIS)
この左図は前段の図で示された状況と変わりありませんが、右図を前段と比べると、0xF100~0xF13F に4行分の [・] が挿入された格好になっています。
つまり「IME パッド」は コード表の中に定義される すべてのコード位置を 16進コードの順を追って もれなく示すように構成されている、ということです。
そのため これら4行分も挿入されているのですが、この「抜け」の部分が(前段の灰色のマスの箇所も含めて)すべて「中黒」([・])で埋めてあるために
Shift_JIS の特徴である、実際には文字にならない「抜け」の部分は 明示もされない上に 字形未登録の空欄との判別も困難で、わかりにくくなっています。
なお、以下は 念のため 上図と同様の状況を 現行の Windows 10 でも確認できるように撮影したものです。
以上から Windows 10 でも「IME パッド」に特段の違いはなく、Shift_JIS での「抜け」の部分は明示されずに判別しづらい状況のままだと確認できます。
このように、すでに Unicode の導入が進んだ現在では、これから字形登録を始めるにあたって
従来型の Shift_JIS による配置を選んでも、あまりいいことは無いようです。
このため 本稿では Unicode の配置に基づく計画的な字形登録 をお薦めしたいと思います。
毎回の起動時に表示される「コードの選択」画面は とりあえず「キャンセル」ボタンを押してキャンセルし、
ついあと回しにして忘れてしまうのを防ぐため、まずはじめに「文字セット:」を Shift_JIS から Unicode に切り替えておきます。
また、「基本的な使い方」では「すべてのフォントにリンクする」の方式が暗黙裡に選ばれていましたが
ここでは 自由度と拡張性の高い「指定したフォントにリンクする」の方式を選ぶようにします。
(「すべてのフォントにリンクする」では、唯一の既定の外字ファイル(ファイル名は [EUDC] のみ)に対して すべてのフォントを一括にリンクさせますが
「指定したフォントにリンクする」では、個別に名前をつけて作成する外字ファイルに対して 個別のフォントを選択的にリンクさせる方式が採られるため
外字ファイルと表示用フォントとで構成されるペアの選択肢が増えるので、結果的に拡張性を高めることにつながります。)
(さらに、ペアを構成する外字ファイルと表示用フォントとの間を結ぶ「リンク」は、切り離したり 別のフォントにリンクし直したり といった編集も可能で
外字ファイルを複数のフォントにリンクさせることも自由なので、当初の外字ファイル作成時に選んでしまったフォントに固執する必要もないのです。)
「指定したフォントにリンクする」の方式を選ぶには、下図のように
プルダウンメニューの「ファイル(F)」から「フォントのリンク(F)...」を選択します。
すると「フォントのリンク」画面が開くので、ラジオボタンになっている「外字フォントの種類」の選択肢を
「すべてのフォントにリンクする」から「指定したフォントにリンクする」に切り替えれば 選択は完了です。
ラジオボタンが切り替わると、下段側の「フォントの選択」リストボックスが、下図のように利用可能な状態になります。
(リストボックスの下に見える「名前を付けて保存(A)...」と「削除(R)」のボタンも、同時に利用可能になっています。)
(このリストボックスは、一度に表示される行数が3行程度と極端に少ないですが、数多くのフォントが入っているので、スクロールして利用します。
なお、ここにリストアップされるフォント名は 日本語対応フォント が多いようですが、そうではないと思われるものもあり、条件の詳細は不明です。
たとえば上図の [Antinoou] は「コプト文字」向けのフォントであり、[Ap梵字悉曇弐式] は「悉曇文字」とも呼ばれる「梵字」向けのフォントです。
さらに [Arial Unicode MS] フォントは表示されていますが、[Arial] フォントもインストールしてあるにもかかわらず、表示はされていません。
ただ いずれにせよ、これから登録する「ユーザー外字」は、フォント自身に字形定義された「ベンダー外字」と競合する場合を除けば
このリストボックスに挙がっていないフォントであっても(外字エディタとは別の手段により「リンク」させることができれば)外字は表示可能です。)
では、ここからは「実践篇」です。
「指定したフォントにリンクする」での流れとしては
まず 今回の作業で最終的に外字を表示させることになるフォント(あとから変更可)を選んでおき、
次に 今回新しく作成する外字ファイルに名前をつけて、外字ファイルを新規に作成してから
外字の具体的な字形を1文字ずつ、実際の編集作業を繰り返して、登録していきます。
ここでは例として、リストボックスの右側で「未選択」となっている「MS 明朝」フォントを選んでみることにします。
(リストボックス右側の「未選択」の表示は、選択したフォントにリンクさせる外字ファイルが未選択、簡単に言えば、リンクがない、ということであり、
今回のリンク登録に際しては、[今回新しく作成する外字ファイル] を その作成後には「MS 明朝」フォントを介して表示可能、ということを示しています。
なお、右側が「未選択」ではない場合、リストボックスの右側には リンクで選択した [すでに作成済みの外字ファイル名] が表示されていることになります。
その場合は 新規登録 ではなく「既存の外字ファイルの中味を編集する」ということなので後述します。ここでは新規登録の場合について説明を進めます。)
フォントを選んだら、リストボックスの下にある「名前を付けて保存(A)...」ボタン(または右上の「OK」ボタン)を押します。
(「指定したフォントにリンクする」で「未選択」の状態から先へ進むのは、どちらのボタンでも同様、というのは、わかりにくいですが、安心です。)
すると下図のように「外字ファイル名の変更」画面が開いて、所定の [EUDC] フォルダの中が見えている状態になります。
(規定の場所は [ローカルディスク(C:)]>[Users]>[(ユーザー名)]>[AppData]>[Local]>[Microsoft]>[Windows]>[EUDC] フォルダ となっています。)
この [EUDC] フォルダは、外字ファイルが置かれる、既定の格納庫です。上図で [EUDC] フォルダ内に見えているのは
既存の(過去に別途「選択したフォントにリンクする」をおこなって、すでに作成済みとなっている)外字ファイル です。
(外字ファイルは、ファイル名が同じで 拡張子が [.TTE](.tte) のものと [.EUF](.euf) のものとがあり、ペアとして扱うのが基本です。
ただし上図の画面では「ファイルの種類(T):」の選択肢が [.TTE](.tte) だけに制限されているため、[.EUF](.euf) については確認できない状況にあります。
なお、[.TTE] と [.EUF] の違いは、前者がフォントに近い表示用の字形データ、後者が外字エディタで編集するための字形データ、と思われます。)
さらに下段側では [今回新しく作成する外字ファイル] につける ファイル名の入力が要求されています。
(この「ファイル名(N):」の入力欄の中は 選択されて青い反転表示になっており、そこには「*.TTE」と書かれています。)
ここで「*」の部分を [今回新しく作成する外字ファイル名] に書き換えます。
(「ファイル名(N):」欄で入力する [今回新しく作成する外字ファイル名] は 自由につけて構いませんが、既存のものと重複しないようにしてください。)
ここでは「GaijiExample(.TTE)」にしておきます。入力したら「保存(S)」ボタンを押します。
リストボックスで選択中の「MS 明朝」の右側に [今回新しく作成する外字ファイル名] の「GaijiExample」が表示されました。
次へ進むため、右上の「OK」ボタンを押して「フォントのリンク」画面を消します。(今回は「OK」のみで 次へ進むことができます。)
(「フォントのリンク」画面で指定した結果、画面上部の表示が「フォント: MS 明朝」「ファイル: GaijiExample」に変わったことも確認してください。)
次は いよいよ字形の編集に入っていきます。外字の字形を編集・登録する、最初のコード位置を指定するため
プルダウンメニューの「編集(E)」から「コードの選択(S)...」を選びます。
「コードの選択」画面が開きました。
前述の「すべてのフォントにリンクする」の項で見たのと同じような画面ですが、今回は Unicode に変わっているため
先頭のコード位置は「E000」となっており、Shift_JIS の特徴であった「抜け」の表現もありません。
(「コードの選択」画面の下段側に、画面上部の「フォント: MS 明朝」「ファイル: GaijiExample」の表示が再掲されていることもご確認ください。)
登録するコード位置が 先頭のままで良ければ、そのまま「OK」を押せば
「E000」の位置に対する字形編集を すぐにもはじめることができます。
「編集」画面のすぐ上には、現在編集中のコード位置が「コード: E000」の形で 常に表示されています。
また前述のとおり、これから編集して登録する外字を表示するフォントは「フォント: MS 明朝」となっており
これから編集する外字を登録する外字ファイルは「ファイル: GaijiExample」になっている、ということも
画面上部の表示を確認することで 常に認識できるようになっています。
「編集」画面は、正方形に収まる外字の字形を、描画域のマス目を使って、自由に1文字ずつデザインできるようになっています。
(ここでは前述の「標準的な使い方」(すべてのフォントにリンクする)にて作成した例を使って説明していきます。)
上図の「字形」と書いた字形は、左端のアイコンの中で窪んでいる「ブラシ」機能だけを使い、マウスで描いたものです。
(ハンコや記号のような、外字以外で言えば [㍼][㍻][㋿][㌐][㎞] などと同じことです。日本語としては2文字ですが、外字としては1文字ですね。)
上図で使った「ブラシ」機能は、その上にあるアイコン「鉛筆」機能の2倍の太さを持つ、フリーハンド向けの太字版といえます。
これら描画機能の項目名は、下図のように プルダウンメニュー「ツール(T)」>「項目(I)」でも確認することかできます。
(右側の図は、描画機能のアイコンと項目名を、単純にくっつけて並べたものです。)
1. | 鉛筆(P) | ||
鉛筆(P): | 太さ1マス分の細い曲線や点を、フリーハンドで描くのに適しています。 事前準備として描画域の中央を得るための目盛り用の点を打ったり、細かい修正などにも活躍します。 | ||
2. | ブラシ(B) | ||
ブラシ(B): | 鉛筆の2倍の太さ=2マス分の曲線や面を、フリーハンドで描くのに適しています。 広い範囲を大まかに塗りつぶしていく場合などに重宝します。 | ||
3. | 直線(L) | ||
直線(L): | 太さ1マス分の細い直線を、始点と終点を指定して描く際に用います。 始点から終点までのマス目の数が縦横で簡単に割り切れない場合は 不規則に見えることもあります。 | ||
4. | 四角形(R) | ||
四角形(R): | 太さ1マス分の細い直線で構成される、塗りつぶしのない水平垂直の四角形を描く際に用います。 描画の際には、四角形の対角線となる始点と終点を指定します。 | ||
5. | 塗りつぶし四角形(F) | ||
塗りつぶし四角形(F): | 内部を塗りつぶした水平垂直の四角形を描く際に用います。 描画の際には、四角形の対角線となる始点と終点を指定します。 | ||
6. | 楕円(E) | ||
楕円(E): | 太さ1マス分の細線による、塗りつぶしのない楕円形を描く際に用います。 描画の際には、楕円を囲む四角形の対角線となる始点と終点を指定します。 正円形にする場合は、囲みの四角形が正方形になるように、辺の長さを揃えます。 | ||
7. | 塗りつぶし楕円(I) | ||
塗りつぶし楕円(I): | 内部を塗りつぶした楕円形を描く際に用います。 描画の際には、楕円を囲む四角形の対角線となる始点と終点を指定します。 正円形にする場合は、囲みの四角形が正方形になるように、辺の長さを揃えます。 | ||
8. | 四角形選択(S) | ||
四角形選択(S): | 対角線による四角形で囲んだ範囲の描画状況を、選択された状態にします。 選択範囲の状況を [コピー&ペースト][移動][消去] したり、後述の「反転と回転」にも利用でき 選択領域の四角形に示された上下左右四隅の点をドラッグ操作すれば [拡大/縮小] も可能です。 (選択範囲の指定には最小で3マス以上の幅が必要です。) | ||
9. | 自由選択(O) | ||
自由選択(O): | 自由な曲線で囲んだ範囲の描画状況を、選択された状態にします。 選択範囲の状況を [コピー&ペースト][移動][消去] したり、後述の「反転と回転」にも利用でき 選択領域の四角形に示された上下左右四隅の点をドラッグ操作すれば [拡大/縮小] も可能です。 (曲線で囲むと、一旦は曲線の範囲全体が入る四角形で囲まれる形(前項と同じ)になりますが 曲線で囲んだ範囲(境界)は有効なまま、各種機能に利用できるようになっています。) | ||
10. | 消しゴム(A) | ||
消しゴム(A): | 鉛筆の2倍の太さ=2マス分の曲線や面を、フリーハンドで消去する際に用います。 間違えて黒くした箇所を白紙の状態に戻す場合などに重宝します。 太さは「ブラシ」と同じで意外に太いので、期待ほどは小回りが利かない点に注意しましょう。 |
1. | 水平方向(H) | ||||
▶ | |||||
▶ | |||||
水平方向(H): | 対象範囲にあるマス目の位置を、範囲の中央に引かれる垂直線を基準に 左右を入れ替えて、鏡に映したように 反転させます。(鏡像) |
2. | 垂直方向(V) | ||||
▼ | ▼ | ||||
垂直方向(V): | 対象範囲にあるマス目の位置を、範囲の中央に引かれる水平線を基準に 上下を入れ替えて、水面に映したように 反転させます。 |
3. | 90° (R) | ||||
▶ | |||||
▶ | |||||
90° (R): | 対象範囲にあるマス目の位置を、範囲の中央に置かれる中心点を基準に 時計回りに90度、回転させます。 |
4. | 180° (O) | ||||
▶ | |||||
▶ | |||||
180° (O): | 対象範囲にあるマス目の位置を、範囲の中央に置かれる中心点を基準に 180度、回転させます。(時計回りでも反時計回りでも同じ) |
5. | 270° (T) | ||||
▶ | |||||
▶ | |||||
270° (T): | 対象範囲にあるマス目の位置を、範囲の中央に置かれる中心点を基準に 時計回りに270度、回転させます。(=[-90°]=反時計回りに90度) |
登録した外字を 各種アプリで利用するには、MS-IME の「IME パッド」などの機能を使うのが簡単です。
次の図は Windows 付属アプリの「メモ帳」に対して「IME パッド」の「文字一覧」を使い 先頭の1文字目をクリックして、すでに登録済みの外字を入力しているところです。 |
字形については、登録した際には「マス目」に描いているので、そのままギザギザになりそうにも思えますが
実際の表示では、字形を描画した境界にあたる輪郭線(アウトライン)に沿った字形になります。
最終的に表示される字形が、大まかにでも登録の際にわかっていれば、なにかと便利な場合もあります。
輪郭線は、プルダウンメニュー「表示(V)」の中で、チェックを付けられる項目「輪郭線(S)」を選べば表示できます。
(ちなみに上図で すでにチェックが入っている「ガイド バー(G)」は画面上段の「文字セット」等の確認項目の表示行、
「ツール バー(T)」は画面左の描画機能アイコン集、「グリッド(G)」は描画域をマス目に分けている[格子]、です。)
輪郭線は細い赤色で表示されています。実際の場面では、この赤い輪郭線に沿って、字形が描画されることになります。
(輪郭線に「沿って」と書いているのは、ここで引かれた輪郭線と「完全に一致するわけではない」という意味です。
なお「ブラシ」で描画した箇所のマスの色は、輪郭線の表示中には(細い輪郭線を強調するため)灰色になっています。)
(ちなみに、外字エディタの「編集」画面の表示に使われる、輪郭線の色、輪郭線表示中の描画箇所の色、描画域のマス目の格子の線の色、の3色については
当方作成アプリの「外字サポーター」を使って、表示色の設定を変更することも可能です。)
では先ほど「IME パッド」で「メモ帳」に入力した外字の 文字の大きさを変えて、字形を確認してみることにします。
(ここでは「花園明朝A」の 18ポイント から「花園明朝Plus」の 390ポイント へ、見た目の画像の大きさが揃うように「目分量」で変更しています。
なお「花園明朝Plus」に変えたのは、特に拡大した時に「花園明朝A」では 文字の余白 が大きく取られ過ぎて、例示用には冗長なためです。)
拡大した実際の字形は、先ほど外字エディタで確認した 赤い輪郭線 に沿って描画されていることがわかります。
(逆を言えば Windows の外字では、元のマス目そのものを活かしたギザギザな字形には、標準では「なり得ない」ということを示しているともいえます。)
外字で ここまで拡大することは あまり多くないとは思いますが
拡大した外字の形状に不満を感じたら、こういう調べ方もある、という程度に覚えておくと良いでしょう。
しかし、元のマス目そのもののギザギザ感はないものの、ガタガタですし、何より「いびつ」な感じですね。
ここまで拡大してしまったせいもありますが、もうちょっと どうにかならないのかな、という気もします。
もし この字形ではダメ、ということでしたら、マス目の細かさ(字形精度)を
標準の 64x64 から、細かいほうへ変更することを検討します。(それでも最大で4倍の 256x256 が限界です。)
やや面倒ではありますが、字形精度を 256x256 程度に変更した上で、画像ファイルも使えば
上の図のように 多少は曲線的で滑らかな字形に修正することも可能になります。
ではせっかくですので、どうにかして「いびつ」な形を直してみたいと思います。
これには「外字エディタ」の「編集」画面の描画域が「モノクロ ビットマップ」形式の画像と互換性があることを利用します。
また「外字エディタ」については字形精度の変更も必要ですが、それには当方作成アプリの「外字サポーター」を併用します。
方針としては、今回は例示が目的ですので、ここまでに作った外字はそのまま残し
修正した字形は隣のコード位置に「追加」して、あとで比較もできるようにしておきたいと思います。
はじめに作った例示の外字は「ブラシ」機能を使って「マウスで手書き」しただけの「偶然の産物」ですので
ここでは はじめから描き直すのではなく、元の字形を再利用することで
当初のタッチやイメージは残すようにして、細かい部分を修正してみることにします。
(もっとちゃんとした「字形デザインの原稿」のようなものがある場合は、そちらを優先してください。)
まずはじめに、字形の現状を撮影して [.png] あたりで「正方形な画像ファイル」を作ります。
(非可逆圧縮がおこなわれる [.jpg] 等は避けてください。白と黒だけの単純な色調でも 境界部分などで 色が変わってしまう場合があります。)
これには「メモ帳」などで外字を実際に表示して得られた「いびつ」な字形と
外字エディタで字形登録した際のマス目による「ギザギザ」な字形とがありました。
どちらを使ってもいいのですが、せっかくなので「ギザギザ」なほうは敢えてギザギザを活かして
「旧式のデジタル文字」みたいな面白い効果を期待することにして、
字形を整える修正は「いびつ」なほうを元にして進めることにしたいと思います。
(左側:「メモ帳」で外字を実際に表示して得られた「いびつ」な字形) (右側:外字エディタで字形登録した際のマス目による「ギザギザ」な字形)
画像は外字としての最大精度となる 256x256 を目指しますが、はじめのうちは 見やすさと作業のしやすさを考えて
上図のように 倍の 512x512 サイズにした 2つの画像を用意しました。(上の表示は当サイトの表示幅に合わせて少し縮小しています。)
左側の「いびつ」なほうは、「メモ帳」で実際に表示した外字を撮影して画像にした上で、字形の位置や大きさを
字形登録時に描画した右側画像の位置や大きさに合わせるように調整しています。
(この段階で 先に Windows 付属アプリの「ペイント」などで字形を修正することもできますが、ここではとりあえず この字形のままで進めます。)
また、右側の「ギザギザ」なほうの撮影手順ですが、外字エディタで字形登録したところまで戻って
描画域のマス目の格子を消した状態の画像を撮影しただけです。(幸運なことに大きさは丁度 512x512 になっていました。)
マス目の格子は、プルダウンメニュー「表示(V)」の中の「グリッド(G)」のチェックを外せば 消すことができます。
画像が撮れたら、Windows 付属アプリの「ペイント」を使って画像を開き
256x256 の大きさにした「モノクロ ビットマップ」形式の画像ファイルを作成します。
(「モノクロ」とは「mono-chrome」つまり「白黒」という意味です。また「ビットマップ」は画像ファイルの初期から使われてきた基本的な形式で
中でも「モノクロ ビットマップ」形式は デジタルの基本である「0と1」だけの表現に置き換えることのできる、極めてシンプルな形式です。
したがいまして「モノクロ ビットマップ」の画像ファイルを作る、というのは、白と黒 だけの「色彩は扱えない画像ファイルを作る」ということです。)
(外字エディタの描画域に画像を貼り付ける際、白と黒 以外の「色彩」を含むことができる状況では、「貼り付け」自体が受け付けてもらえません。
また画像の大きさも同じでないといけないため、外字エディタと画像とのやりとりでは、同じ大きさの「モノクロ ビットマップ」形式の画像が必要です。)
(以下、左右とも やることは同じです。) (左側:「メモ帳」で外字を実際に表示して得られた「いびつ」な字形) (右側:外字エディタで字形登録した際のマス目による「ギザギザ」な字形) Windows 付属の「ペイント」で、2つの画像ファイルを開いたところ。 プルダウンメニュー「変形(I)」から「サイズ変更/傾斜(S)...」を選択します。 512x512 の画像サイズを 256x256 に縮小するため、「サイズ変更と傾斜」画面のサイズ変更欄を、縦横とも「50%」にして「OK」を押します。 縦横の長さがともに半分(面積にして四分の一)になった画像ができました。これでとりあえず 256x256 サイズの画像ができたことになります。
次は「モノクロ ビットマップ」形式にしていきますが、それには画像ファイルとして一旦保存する必要があります。プルダウンメニュー「ファイル(F)」から「名前を付けて保存(A)...」を選択します。 「名前を付けて保存」画面が開くので、下段側にある「ファイルの種類(T):」欄を「モノクロ ビットマップ (*.bmp;*.dib)」形式に切り替えます。
「ファイル名(N):」欄の拡張子が [.png] から [.bmp] に変わりますので、特に名前を変更する必要もありません。そのまま「保存」してください。保存形式が変わって白と黒以外の色彩が扱えなくなるので、メッセージが表示されます。「はい(Y)」を押して続行してください。 画像に変化はないようですが、画面上段にあった色彩パレットの色が無くなり、白黒の階調表現に変わっています。
画面最上部のタイトルバーに表示されている ファイル名の拡張子も [.bmp] に変わっていますね。
これで目標とした「モノクロ ビットマップ」形式の画像ファイルが 256x256 の大きさで作成できたということです。
次の図は 作成した「モノクロ ビットマップ」形式の画像2態を 256x256 の原寸大で表示しています。
すでに「ペイント」で開いている状態なら、「画像」自体はあとで直接コピーして使えますので
「ペイント」の画面は閉じずに そのまま置いておくと、効率的です。
(せっかく「画像ファイル」を作りましたが、実際のところ、今回の作業では、保存されて実体を伴った「画像ファイル」としての利用価値は、ありません。
形式を変換した「白黒画像」のみが あとで必要なだけですので、一連の作業終了後には、「画像ファイル」は「ごみ箱」に入れて処分するだけとなります。
ただ 画像ファイルを作成しないことには「モノクロ ビットマップ」形式にはならないので、コピーできるように 作成まではきちんとやる、ということです。)
さて今度は「外字エディタ」の字形精度の変更です。
それには当方作成アプリの「外字サポーター」を併用するのでした。
(「外字サポーター」から「外字エディタ」を起動しますので、別途「外字エディタ」を使用中の場合は「外字エディタ」を一旦終了させておいてください。)
(「外字サポーター」を起動した状況。はじめは規定値の 64x64 になっていますので、右端の 256x256 の例示部分をクリックします。
なお起動する直前には「ユーザーアカウント制御」の承認を経ているため、当アプリは常に「管理者」として起動しています。)
(字形精度の表示が [256] に変わったのが確認できたら、画面中央部のボタンから「外字エディタ」を起動してください。
たったこれだけ。もし必要なら、他の字形精度(16x16 ~ 256x256 まで、偶数のみ)も選べます。
なお字形精度は通常(特に別アプリからの影響等がなければ)当アプリ終了時には標準値の 64x64 に戻るようになっています。)
「外字サポーター」により「外字エディタ」が起動されました。起動時は毎度おなじみの「コードの選択」画面からですね。
ただし今回は起動時の設定が変更されているため 256x256 の字形精度で起動しています。
先頭のコード位置には 規定値の 64x64 で すでに作成済みの外字が登録されていますが、現状では字形精度が 256x256 なので
このまま「OK」を押して「編集」画面に入っても、字形精度が違うため(やってみればわかりますが)実は何も表示されません。
そんなことより 今回は新しい外字の登録です。登録済みの外字については今回は扱わないことにして
この隣のコード位置を使って、懸案の「いびつ」になった字形を修正していくことにしましょう。
コード位置を切り替えますので、上図のように [F041] の箇所をクリックしてから「OK」ボタンを押します。
[F041] の「編集」画面が表示されました。中味は当然「からっぽ」ですが、マス目がえらく細かくなっていますね。
描画域が黒っぽく見えるのは、マス目に引かれた格子の線の太さ(必ず1ピクセル)が それ以上は細くならないので
縦横 256マスに区切る格子に挟まれた「白いマス目」部分の面積が、相対的に小さくなってしまっているためです。
これが 256x256 の精度ということですね。
ただ、さすがに この状態のままではマス目が細かすぎて、修正のための描画機能が 安全かつ効果的には使いづらいので
修正作業は [あとで画面を拡大してから] やることにして、まず先に作っておいた「いびつ」画像の「貼り付け」をやっておきます。
▶ ▶
「ペイント」で「いびつ」字形の画像を開いた状態から、[Ctrl+A] の次に [Ctrl+C] をやるか、上図のように
プルダウンメニュー「編集(E)」>「すべて選択(A)」の次に「編集(E)」>「コピー(C)」をおこなうと、画像がコピーできます。
そのまま「外字エディタ」に戻って [Ctrl+V] をやるか
「外字エディタ」のプルダウンメニュー「編集(E)」から「貼り付け(P)」を選ぶと
下図のように「いびつ」字形が貼り付けられます。
ではついでに、もうひとつの「ギザギザ」字形の画像のほうも「貼り付け」作業を済ませておきましょう。
コード位置も もうひとつ隣に移してから貼り付けるため、プルダウンメニュー「表示(V)」から「次のコード(N)」を選びます。
おっと、先ほどの [F041] に貼り付けた「いびつ」字形を まだ保存していませんでした。
コード位置ごとの描画域の状況を編集した際に、個別の字形に変化があっても保存をしていない場合には
いきなり別のコード位置に移ろうとすると、次のようなメッセージが出ますので、安心です。(汗)
「はい(Y)」を選んで 文字(字形)が保存されると
次のコード位置 [F042] が開いて また「からっぽ」な編集画面になりますので
再び「ペイント」に戻って、今度は「ギザギザ」字形の画像を、先ほどと同じ手順でコピーします。
▶ ▶
次の図は、コピーした「ギザギザ」画像を [F042] の描画域に貼り付けたところです。
「ギザギザ」字形は、ギザギザな状況を「敢えて残す」ために作ったものでした。
もともと「格子」に沿って描画されたものなので、下手に修正するより、こちらのほうが綺麗に整いそうではありますね。
しかしこの形も 64x64 のままでは「いびつ」にならざるを得ないのですから、256x256 にした甲斐があったというものです。
この字形は このまま置いておけばいいので、今度は忘れずに、現在のコード位置の状況を「個別に保存」しておきましょう。
それには、外字エディタの場合には「ファイル(F)」ではなく「編集(E)」にある「同じコードで保存(V)」を選びます。
(外字の登録時には、個別のコード位置をまとめた総体としての「外字ファイル」(上図では [ファイル: EUDC])に保存しそうなものですが
外字エディタでは個別のコード位置ごとに外字を管理しますので、保存機能は「ファイル(F)」ではなく「編集(E)」に設置されているようです。
なお このとき「コードを変更して保存(A)...」を選ぶと、「編集」画面の描画域の状況を、別のコード位置を指定して保存することもできます。)
これで とりあえず 画像からの字形登録が完了しました。
では手前の [F041] に戻って、いよいよ懸案の 字形の修正作業に移っていきたいと思います。
先ほどやったように、プルダウンメニュー「表示(V)」から、今度は「前のコード(P)」を選んでもいいですが
全体の状況がどうなったかも見たいので、はじめにやったように
起動時に表示される「コードの選択」画面で確認してから、ひとつ前のコード位置に戻ることにしましょう。
「コードの選択」画面を表示するには、プルダウンメニュー「編集(E)」から「コードの選択(S)...」を選びます。
「コードの選択」画面が表示されました。
現在のコード位置 [F042] が窪んでおり、ここまでに登録した3つの外字が並んでいますね。
表示が小さいので肉眼では確認しづらいですが、ここまでやってきた作業自体は正しく反映されているようです。
面白いと思うのは、最初に作った [F040] は 64x64 で、[F041] と [F042] は 256x256 ですから
ひとつの外字ファイル(ファイル: EUDC)の中で、字形精度は混在していても平気だということです。
ただし 64x64 は 64x64 でしか編集できないし、256x256 は 256x256 でしか編集できない、ということですね。
あとから編集し直す場合に備えて、個々の外字の精度をメモしておくことなども考慮したいところです。
ではもう一度、修正対象となる [F041] をクリックして、「いびつ」な字形の編集作業に入りましょう。
これで「OK」を押せば [F041] の編集画面に戻りますね。
ところで外字エディタに限らず多くのソフトでは、画面の外枠部分をドラッグすれば 画面サイズを自由に変更できます。
[F041] になったら、扱いやすいサイズになるまで、外枠をドラッグして拡げてください。
なお「編集」画面の大きさは、外字エディタの画面サイズに応じて「段階的に」拡大縮小されるようになっています。
外字エディタの画面を ある程度まで拡げないと「編集」画面は大きくならない、ということですので 覚えておいてください。
(これは「編集」画面の描画域が、必ず1ピクセルの太さを必要とする縦横の格子線で字形精度をあらわしており
描画域が縦横ともに等しい正方形として一定の倍数単位で表示可能な広さになるまで
外字エディタ全体の大きさが拡大縮小されるのを「待つ」ようになっているためです。)
次の画像は [F041] に戻った上で、外字エディタの画面サイズを広げて表示しています。
この「いびつ」な字形を「鉛筆」「ブラシ」「消しゴム」などの描画機能を使って
徐々に修正していけばいい、というわけですね。このマス目の大きさなら、なんとか安全に操作できそうです。
(さて ようやく上図で 貼り付け結果を拡大できたわけですが、よく見ると ところどころに細かな「ノイズ」のように乱れた「荒い」箇所が散見されます。
これは「いびつ」字形を貼り付ける元にした「モノクロ ビットマップ」画像を作った際に、すでに「画像にした状態」で、描画位置を動かしたり
目分量で拡大縮小したりしたためと思われます。もちろん、その元にしたのが「メモ帳」での表示なので、仕方がないといえば仕方がないのですが。
もう一方の「ギザギザ」なほうは、外字エディタの描画域を元に、一発で画像にできたため「ノイズ」が無い、というのとは対照的ですね。)
次の画像は、実際に「鉛筆」「ブラシ」「消しゴム」などの描画機能を使って
足りない部分を補ったり、不要な部分を削ったりしながら、イイ感じになるように 修正を試みた状況です。
(字形修正では「鉛筆」「ブラシ」「消しゴム」の3種類だけでも十分なようです。削ったりするので、感覚的には「描く」というより「彫刻」に近いですね。)
これまでの「いびつ」な状況から脱して、かなり丸みを帯びたようです。
念のため「輪郭線」も表示して、ガタガタしているところが無いか、確認しておきます。
だいたいイイんじゃないでしょうか。
ではこれで とりあえず「保存」して、「メモ帳」で実際に字形を表示して、確認してみます。
うーん、ほんのり「いびつ」さが漂っているようで、ちょっと悔いが残りそうな感じですね。
どうやら「メモ帳」で確認しながら進めたほうが良かったようです。
せっかくなので、もうちょっとだけ、修正することにしましょう。
ここでついでに、あともう一方の「ギザギザ」なほうも確認しておきます。
こちらのほうは意図したとおり「旧式のデジタル文字」みたいな 面白い効果が出ています。
やっぱり「マス目の格子」ですから、「曲線」よりは「直線」のほうが、簡単なんですね。
本格的にやるなら、ギザギザがもっと荒いほうが、面白いかもしれません。
(それには最初の字形を 64x64 より荒い 48x48 とか 32x32 などで作ったほうが綺麗に整うことでしょう。)
ではもう一度、外字エディタの [F041] に戻って、修正あるのみです。
今度は「メモ帳」で実際の字形表示も確認しながら、自分が納得いくように調整していきます。
きりが無いので(笑)、自分で適当に折り合いをつけるほかはありませんが
はじめの「いびつ」な字形と比べれば、かなり「マシ」にはなったはずです。
では3つとも、登録したコード順に並べてみます。(下図の「メモ帳」の文字の大きさは 240ポイント まで落としています。)
左から順に、はじめの「いびつ」な字形、2回修正した「マシ」な字形、特殊な効果を狙った「ギザギザ」な字形、です。
こうして見ると、それなりに効果はあったようです。
元の字形の基本線は守りながら、拡大にも耐える外字が2つ、追加できました。
もちろん「IME パッド」に見えるように、ある程度までの大きさがないと、細かい字形の差異は埋没してしまいますので
外字の字形品質を向上させる必要があるのは、あくまでも「拡大が予想される場合」のみです。(明朝体なら縦線を太く横線を細く強調した上で[止め][撥ね][払い]や[筆押さえ]などの形にも一定の様式がありますし
また、もし「明朝体」や「ゴシック体」等々を意識したいのであれば
その書体のデザイン様式(タイポグラフィー)的な要素を
外字の字形デザインに意識的に取り込んで反映させる必要があります。MS 明朝 花園明朝A MS ゴシック メイリオ
ゴシック体なら[止め][撥ね][払い]や[筆押さえ]などは極力廃して字画の太さを一定に揃えるなどのルールがあります。)
なお、外字エディタの「編集」画面で描画・修正した状況は、先ほどとは逆に
「モノクロ ビットマップ」形式の画像として保存しておくこともできます。
次の図は 外字エディタで今回修正した 256x256 の状況2態を
「四角形選択」で左上隅から右下隅まですべて選択した上で「コピー」し
別途に用意した 256x256 の大きさの「モノクロ ビットマップ」形式の画像に「貼り付け」して保存したものです。こうやって途中経過でも保存しておけば、また元に戻して検討し直すこともできますね。(表示は原寸大)
また、次の図は 外字エディタの字形精度を 64x64 に戻した上で、最初に登録した字形を
同様に 64x64 の「モノクロ ビットマップ」画像にして、原寸大で表示したものです。外字エディタの「編集」画面では 同じ大きさに見えてしまうので わかりにくい面もありますが
原寸大で比べると、画像の持てる情報量の違いが 一目瞭然ですね。
以上、変更した字形精度と画像を使っての字形の修正例でした。
外字を作成する際の一助になれば幸いです。
外字エディタでは、ここまで見てきた「手書きの外字」だけでなく、お手持ちの「フォント」を活用し
描画域のマス目に字形をコピー(流用)して、新たな外字を作成するための機能も用意されています。
字形といえどもコピーをすれば著作権に抵触するのでは、とお考えの方もおられると思いますが、少々荒めのビットマップパターンにせざるを得ない外字と
高精細なアウトライン系のフォントとでは「同じにはなりえない」ため「心配なし」として、Windows 付属の「外字エディタ」に搭載されているようです。
ただし、中には有料のフォントもありますし、個人で使う範囲を超えての利用などでは問題視される場合も考えられます。見極めは 自己責任で 慎重に。
実は「手書きの外字」では、実際の文中で利用する際、文字の大きさや上下の位置などが微妙に違って
他の文字とのバランスが取りにくいことがありますが、既存のフォントの字形を参考に作られた外字なら
そうした違和感を軽減することができるようになります。
ではさっそく、そのための具体的な方法です。
フォントの字形を流用する方法には、「参照」機能と「文字のコピー」機能とが用意されています。
どちらかというと「参照」機能のほうがお薦めですが、ここでは両方とも説明し、両者の違いについてもまとめておきます。
• 「参照」機能
• 「文字のコピー」機能
• 長所の活用
• 両機能の比較表
「参照」機能
説明に入る前に、流用した字形を登録するためのコード位置を先に決めておかなければなりません。
今回登録する外字のコード位置は、2行目の [F050] に作ってみることにします。(以下の字形精度は 64x64 に戻してあります。)
「参照」機能は、プルダウンメニュー「ウインドウ(W)」>「参照(R)...」に用意されています。
「参照」画面が表示されました。
この画面に表示されている文字を選べば、その字形を参照して流用できるということですね。
(ちなみに、この画面での文字の配列は Shift_JIS ではなく Unicode のコード順で、指定できるのも 4桁までの Unicode 16進コード だけです。)
また「参照」画面の中段右側には、現在の表示に選択中のフォント名を示す「フォント: MS UI Gothic」の表示
(外字エディタ本体の画面上部の「フォント:」欄の表示とは内容が異なる点に注意)がありますし、下段右端には
「フォント名(F)...」のボタンもあって、参照するフォント名を切り替えできるようになっています。
では実際にどうなるのか、使ってみましょう。
とりあえず手近なところで、ラテン小文字の「a」を選んでみます。
「OK」を押すと、参照されるはずです。
「編集」画面のとなりに「参照」画面が開き
先ほど選んだラテン小文字の「a」が、マス目の格子で区切られた状態で表示されました。
(前の画像と比べてみると、「編集」画面の大きさが(「参照」画面も同じ大きさで入るように)すこし小さくなっているのがわかります。)
余白が大きいように感じるかも知れませんが、ラテン文字ほか各地域の文字でも フォントは活字の伝統を引き継いでおり
下側や上側に字形の出っぱりが突き出る場合(グリフの突出)に備えて、実によく練られた配置になっています。(行間隔は、基準線(ベースライン)の上側(アセント)と下側(ディセント)およびその下の余白(スペース)の3つで構成されています。)
なるほど、だから見やすいんですね。では、これをこのままコピーして使わせてもらうことにします。
なお今回はこのまま進みますが、マス目が荒いと思う場合は、事前に字形精度を細かいほうへ切り替えておけば良さそうです。
では「参照」画面全体をコピーします。
左端にある描画ツールの中から「四角形選択」を選び、「参照」画面で左上隅から右下隅までの全体を囲みます。
(下図は「参照」画面が選択されてタイトルバーの色が濃くなっており、左上隅から右下隅へ向けて囲んでいる途中の状況を示しています。)
「参照」画面で全体を囲んだら「コピー」して、次に「編集」画面を選択(「編集」と書かれたタイトルバーをクリック)して
「貼り付け」をおこなえば、参照した字形が流用できます。
(下図では「編集」画面が選択されているため「編集」画面のタイトルバーの色が濃くなっています。)
「参照」画面はもう不要なので 右上の「×」印で閉じると、「編集」画面が元の大きさに戻ります。
今回は例示用なので、下図のように描画域の中心を割り出して、縦幅いっぱいに縦線を加えた上で保存してみました。
(マス目の数は縦横ともに常に偶数なので、真の中心線はマス目の間の格子線にあたるため、中心を示す縦線は必ず2マスの幅で引くことになります。
ちなみに、縦線は左右両端から等間隔をとった中心に引いており、フォントを参照してコピーした字形のほうが、やや左へズレているようです。)
次の図は Shift_JIS [F050] (Unicode: U+E010) に登録した外字を
MS-IME の「IME パッド」を使って Windows 付属の「メモ帳」に入力しているところです。
(「メモ帳」のフォントも 外字作成時に参照した「MS UI Gothic」に揃えてあり、大きさは 30ポイント にしています。)
先行する「aaaaa」の5文字は キーボードから入力した通常のフォント(MS UI Gothic)の文字で
現在「IME パッド」から入力中の状況にある 6文字目が外字です。
文字の「縦幅」(行間隔)は揃っていますが、「横幅」(文字幅)は左右に余白があり、正方形になっていますね。
そもそも「外字」というもの自体が、正方形に収まる「漢字」等の異体字表現などのために作られた仕組みであるため
漢字文化圏以外の文字(欧文など 文字幅を詰めて書き 単語の区切りは[分かち書き]等が前提となっている文字)に対しては
外字にすること自体が不向きな面があるようです。
さらに次の図では「メモ帳」のフォントを「MS ゴシック」に変更してみています。
フォントが変わったため、先行する「aaaaa」の5文字のほうは字形が変わっていますが
外字のほうは、作成時に参照した「MS UI Gothic」の字形のままですね。
よく知られているように「メモ帳」は 全体で1種類のフォントしか使えない仕組みなのですが
上図では あたかも字形を混在させたような状況になっています。
逆に言えば、字形を参照して作った外字を使う場合には
周囲の状況も、外字参照元のフォントに揃えることが望ましい、ということになりそうです。
では、これら「利用上の注意点」を踏まえた上で、外字の利用が向いている「漢字」でも、同じようにやってみましょう。
以下は、外字の例示では定番の、漢字「吉」の上部の「士」が「土」になっている俗字、いわゆる「つちよし」の作成手順です。
(Unicode にはすでに「𠮷」の字形が U+20BB7(CJK統合漢字拡張B)に登録されていますが、まぁそれはそれとして(^^;)
外字の登録位置は、先ほど「a」を参照した隣の Shift_JIS [F051] (Unicode: U+E011) にしておきます。
字形を参照するフォントは「MS 明朝」を選択しており、漢字「吉」のコード位置は Unicode U+5409 です。
(個々の文字についてコード位置を調べるには、ウィクショナリー を使ってもいいですし、当方作成アプリの「ユニキャラファインダー」も便利です。)
上図では先行する「吉吉吉」の3文字が通常のフォント(MS 明朝)の文字、入力中の4文字目が外字の「つちよし」です。
文字幅も含めて だいたいイイみたいですが、「土」の縦線の上端が、ちょっと短いようにも感じます。
上下の横線の長さが入れ替わったための「目の錯覚」のようなものかも知れませんが、念のためにもうひとつ
もとの「吉」の字形そのものを「参照」で単純にコピーしただけの外字も作って、比べてみます。
今度は5文字目が新しく作った「吉」の単純流用字形です。あまり問題にはならない程度とも思いますが
やはり 上端部分が わずかに短いようでもあります。
チマチマやっててもはじまりませんので(笑)、拡大してみました。右側2字が外字ですが、やっぱりテッペンが欠けていますね。
上端が三角形でないだけでなく、線が太かったり、筆押さえの形が違っていたりと、問題点を探したらキリがありません。
これは字形の参照時に 64x64 のマス目にうまく載らなかった部分 と思われますので
気になる場合は、字形精度を細かいほうへ変更するといいでしょう。
(今回は画数の少ないシンプルな「吉」の漢字(たったの6画!)で試していますが
普通の日本語でもたまには使われる 30画前後の「鑿」「鬱」「靏」「鸞」など複雑な漢字になると
64x64 では細部が潰れるため、字形精度の変更は常に考慮したほうが良い場合があります。)
説明が冗長になりそうですので結果だけ。28画の漢字「鑿」(のみ(彫刻などに使う工具)、うが-つ、U+947F)を追加して
高精細 256x256 の外字はコード位置を次の段に作り、「つちよし」も同じように作り直しました。
(字形精度の変更については当方作成アプリの「外字サポーター」を併用しています。別項「字形修正の実例」もご参照ください。)
「メモ帳」では、左側2文字が上下2行ともフォント(MS 明朝)の文字、右側3文字が外字ですが
上段側は 64x64、下段側は 256x256 の字形精度になっています。
さすがに高精細なほうは最大値なだけあって必要十分なようですね。
それでも、もっと極端に拡大すれば、おのずと荒さが目立つようになります。
しつこいようですが、最後はその拡大までやって終わることにしましょう。
わずかですが、やっぱり少し違いますね。外字ではこれで字形精度の限界ということです。
左:「MS 明朝」フォントによる表示、右:256X256 で「MS 明朝」フォントの字形を「参照」した外字。 (文字の大きさは 360ポイント)
「文字のコピー」機能
こちらでも、流用した字形を登録するためのコード位置を先に決めておかなければなりません。
今回登録する外字のコード位置は、3行目の空欄 [F060] に作ってみることにします。(以下の字形精度は 64x64 に戻してあります。)
「文字のコピー」機能は、プルダウンメニュー「編集(E)」>「文字のコピー(Y)...」に用意されています。
「文字のコピー」画面が表示されました。(見た目の上では「参照」画面とまったく同じのようです。)
この画面に表示されている文字を選べば、その字形を参照して流用できるということですね。
(こちらの画面でも、文字の配列は Shift_JIS ではなく Unicode のコード順で、指定できるのも 4桁までの Unicode 16進コード だけです。)
また、画面の中段右側には、現在の表示に選択中のフォント名を示す「フォント: MS UI Gothic」の表示
(外字エディタ本体の画面上部の「フォント:」欄の表示とは内容が異なる点に注意)がありますし、下段右端には
「フォント名(F)...」のボタンもあって、参照するフォント名を切り替えできるようになっています。
今回は(「参照」機能との峻別も図りたいので)流用字形の精度などにはこだわらず、フォントもこのままで進めることにします。
流用する字形は「参照」でも使った 28画の漢字「鑿」(のみ(彫刻などに使う工具)、うが-つ、U+947F)にしました。
「編集」画面に字形が表示されました。[MS UI Gothic] は その名のとおり「ゴシック体フォント」なので
前項で見た [MS 明朝] などの「明朝体フォント」との違い(字形デザイン差、書体差)が、はっきり出ますね。
字形は曲線などの細部が少々荒いようですが、ここでは気にしないで進めます。(気にする場合は前項をご参照ください。)
さて、思い出してください。「参照」機能のときには「編集」画面のとなりに「参照」画面が開いて字形が表示され
そこから「編集」画面に字形をコピーしたのですが、「文字のコピー」機能では、字形が「編集」画面に 直接 流用されています。
なんだこのほうが簡単じゃん!と思われた方、そのとおり、正解です。ですが、ここで注意。
「文字のコピー」機能で流用した字形は、特に流用直後は 消えてしまいやすい状態になっています。
字形を保存しないままコード位置を移動(「コードの選択」や「次のコード」「前のコード」)すると、せっかく流用したと思った字形は
実は保持されておらず、「参照」機能や字形編集の際には表示されていた「この文字を保存しますか?」のメッセージも
表示されることなくスルーされるため、字形流用の操作はあとからやり直しが必要になることがあります。ご注意ください。
長所の活用
「文字のコピー」機能を使うと、「編集」画面に表示中の字形を、簡単に他の文字の字形で置き換えることができます。
今度は現在のコード位置 [F060] は変えずに、字形を 29画の漢字「靏」(つる(「鶴」の異体字)、U+974F)にしてみましょう。
たったこれだけ。簡単ですね。「引き金が軽い」とでも言いますか、拍子抜けしそうなぐらいに簡単に変更できました。
同時に、先ほど流用したばかりの「鑿」の字形はすでに置き換えられてしまい、残っていないことにも注意してください。
「参照」機能や字形編集の際には、全体を「四角形選択」で囲んで一旦クリアしたりしそうなものですが
「文字のコピー」機能では「編集」画面の全体が一気に置き換わる、というのが特徴になります。
(逆に「参照」機能で貼り付け先をクリアしないまま貼り付けると、字形の黒い部分が重なってしまうので、「元に戻す」でやり直すことになります。)
しかし考えてみれば、フォント自体に高精細な字形があるのに
わざわざ低解像度な「外字」としてそのまま流用するのは、あまり意味があるようには思えません。
当然このあとに「何らかの加工」があって初めて、「外字」にする意味が出てくるのでしょう。
その「加工」は、「文字のコピー」機能のあとでは「手作業で編集する」のが自然な流れとなりそうです。
では ためしに、「文字のコピー」機能で流用した「靏」の字形を使って、ちょっと遊んでみることにします。
次の図では「靏」の左下部分の「隺」を取り払って、右下部分の「鳥」をコピーして貼り付けています。
(「貼り付け」では必ず一旦左上隅に貼り付くので、マウスでドラッグして移動させています。)
変な字形ですが、意外に上手く収まりました。フリーハンドで描画せずに、部品単位でコピーしたのが良かったようです。
(漢字としてはアリエナイ字形です。遊びですので、細部にはこだわらないことにしましょう。)
なお、貼り付けた選択部分の幅や高さを変えたい場合は、上下左右や四隅の■をドラッグすれば自動的に可変となりますが
マス目の単位で動きますので、今回のように単位面積あたりのマス目が荒い場合には、結果も「それなり」にしかなりません。
では今度は、上部の「⻗」(あめかんむり)を、ここには出ていない「𥫗」(たけかんむり)に変えたい、と思ったとします。
フリーハンドではバランスをとるのが難しそうです。「文字のコピー」機能を使ったのでは全体が置き換わってしまいます。
さて、どうすればいいでしょう?
こういうときには、前述の「参照」機能がお役に立ちます。
フォントにある他の漢字の字形を参照し、字形の一部分をコピーして持ってくればいいですね。
次の図では漢字「竺」(ジク(インドの古名「天竺:てんじく」の「竺」)、U+7AFA)を参照しています。
(参照する漢字には 欲しい箇所を分離しやすい 字形のシンプルなものを選んでいます。字形流用の際にはフォントが揃っていることも要確認です。)
貼り付け先となる「靏」の上部の「⻗」(あめかんむり)を「四角形選択」で囲んで
キーボードの「Deleteキー」を押して消します。囲みきれずに残った部分も「消しゴム」機能で消しておきましょう。
参照元にする「竺」の上部の「𥫗」(たけかんむり)を「四角形選択」で囲んで「コピー」して
「編集」画面に「貼り付け」します。(貼り付け位置が変わらないよう「参照」画面で囲む際に左上隅から囲んでいます。)
なんとも珍妙な漢字(?)が出来上がってしまいましたが(笑)、すでに字形デザインが確定している部品を流用して
漢字(のようなもの)を創作(再構成)する場合の手順としては、以上のようにすればよい、ということです。
両機能の比較表
(画面内でのプルダウンメニューの配置に沿うように 下表も配置したため、前項までの説明とは 順序が逆 になっています。)
「文字のコピー」機能 「参照」機能 利用法
(プルダウンメニュー)「編集(E)」>「文字のコピー(Y)...」 「ウインドウ(W)」>「参照(R)...」 初期画面 (両画面ともほぼ同じ) 共通点 流用する字形デザイン(書体)は「フォント名(F)...」ボタンから切り替え可能。
文字の指定は、表内の選択、または Unicode 16進4桁のコードを入力。
流用元の字形は「フォントの選択」に依るところが最大の要点となる。機能的特徴 流用元の字形の黒い部分と白い部分とに関係なく
「編集」画面全体に 直接 字形がコピーされる。
全体が置き換わるので、応用は利かないが
字形の重複は起こらないため、わかりやすい。「編集」画面の隣に「参照」画面が開く方式のため
流用する選択範囲の指定により全体流用も部分流用も可能。
コピーして貼り付けると、字形の黒い部分だけが貼り付けられ
白い余白部分は無視される(透過状態となる)。注意点 以前から「編集」画面にあった元の字形は置き換えられる。
流用直後にコード位置を移動すると字形が保持されない。
範囲を指定した部分的な流用はできない。流用時には2画面となるため、操作面ではやや煩雑となる。
貼り付ける際、字形余白の白い部分は貼り付かないため
貼り付け先で黒い部分が重複しないよう事前にクリアする。
もし すでに字形が出来上がった外字ファイルがあるのなら、適切なフォントと「リンク」さえおこなえば
外字としてすぐに使えるので、簡単です。
「リンク」というのは、文字を表示するためのフォントと外字ファイルとを結びつける「設定」のことで
レジストリという Windows システムの設定情報データベースに保存される、一種の情報です。
この「リンク」は、フォントと外字ファイルとを、結びつけたり(登録)、切り離したり(削除)、付け替えたり(変更)
といった編集が、必要に応じて自由にできるようになっています。
下図は別項「推奨される使い方」でも見た 外字エディタ の「フォントのリンク」画面です。
(プルダウンメニュー「ファイル(F)」>「フォントのリンク(F)...」を選択して表示)
上段側「外字フォントの種類」欄で「指定したフォントにリンクする(S)」を選んでいるため、下段側「フォントの選択」欄が使える状態になっています。
画像内では「MS 明朝」フォントに対して 外字ファイル「GaijiExample」が「リンク」されていることが表現されています。
(ひとつのフォントがリンクできる外字ファイルはひとつだけです。逆に、ひとつの外字ファイルは複数のフォントでリンクに選択することが可能です。)
この「フォントのリンク」画面には、以下のような機能が装備されています。
たとえばここで最下段にある「削除(R)」ボタンを押せば、「このリンクを解除する」という意味(=削除)になるため
「MS 明朝」フォントにリンクする外字ファイルは「未選択」の状態に戻ることになります。
(これは「リンクの削除」という意味であって、「MS 明朝」フォント や 外字ファイル「GaijiExample」が削除されるという意味ではありません。
リンクは削除しても同じ外字ファイルを再び選び直せば回復しますので、何度でも安心して削除できます。
なお 外字エディタには外字ファイルを削除する機能自体がありません。不要な外字ファイルは他の方法で削除しない限りそのままとなります。)
あるいはここで「名前をつけて保存(A)...」ボタンを押せば、「MS 明朝」フォントにリンクする外字ファイルを
現在の「GaijiExample」から別の外字ファイルに 選び直し(=変更)ができる、ということになります。
(もちろん、別項「推奨される使い方」でも見たように「未選択」となっているフォントを選んで「名前をつけて保存(A)...」ボタンを押せば
これから新しく名前を付けて保存する外字ファイルを「追加」すると同時にリンクも設定(=登録)する、ということになります。)
さらに、右上の「OK」ボタンを押せば、現在選択中の「MS 明朝」フォントにリンクが設定されている
外字ファイル「GaijiExample」の中味(字形や配置など)を「編集」画面を使って変更することもできるようになります。
もしくは上段側で「外字フォントの種類」を「すべてのフォントにリンクする(L)」に切り替えれば
下段側「フォントの選択」欄の選択は無意味となり、既定の「EUDC」外字ファイルの中味を編集できるようになります。
以上のように「フォントのリンク」画面はなかなか奥深い意義を持っているのですが
画面の構成要素が必要最小限にまとめられ過ぎていて、逆にわかりにくくなっているのは残念に思われます。
また、上図の「フォントの選択」欄の一覧に掲載されるフォントは限定的になっていて
欧文系など漢字文化圏以外を主な対象とするフォントは除外される傾向があるようです。(掲載/除外の制限基準は不明瞭)
ただし、リンクという仕組みの上では このような制限は無いため、基本的には どのようなフォントに対しても
(「外字エディタ」以外の方法でということになりますが)リンクを設定すること自体は可能です。
(ここでは「リンクできるかどうか」について述べています。肝心の「外字が表示できるかどうか」については
フォント自身が外字領域のコード位置に字形を持っていない(ベンダー外字がない)などの条件が加わります。)
なお「既存の外字ファイル」があるなら使ってみたい、ということでしたら、簡単に入手したい場合は
たとえば「Koin変体仮名」様からは 変体仮名の外字ファイルが(フリー版なら無償で)入手できます。
(変体仮名についての概要や「Koin変体仮名」の利用法につきましては、当サイト内「変体仮名を用いる」にて詳述しています。)
また、当方作成アプリの「外字サポーター」「ロゼッタカルク」「ユニキャラファインダー」には、それぞれ
「occhann'sGaijiSample」「RosettaCalcTokuteiGaiji」「UniCharFinderSampleGaiji」の外字ファイルが付属しており
当方の外字ファイルは 上記リンクから zip圧縮形式で 個別にダウンロードもできますので、ご自由にお試しいただけます。
このうち、フリーウェアとして無料でご提供しております、当方作成アプリ「外字サポーター」を使えば
「外字エディタ」では扱えないフォントについても「リンク」して、外字を使うことができるようになります。
さらに「外字ファイル」の削除や移動など、ファイル管理の機能等も装備しておりますので、ご活用ください。
以上、前項までで使っていない「外字エディタ」の機能は あと4つ ありますが
これらはいずれも、実質的に使えないか、無意味となっているようです。
• ビットマップ フォントの取り込み
プルダウンメニュー「ファイル(F)」>「ビットマップ フォントの取り込み(I)...」
「古い外字フォントの取り込み」画面が表示され、外字ファイルの格納場所を指定するようになっているが
「参照(R)」ボタンを押してみると「USERFONT.FON」しか選択できないようになっている。
つまり「古い外字フォント」の外字ファイル「USERFONT.FON」を実際に持っていないと利用できない。
(拡張子 [.FON](.fon) は「ビットマップ フォント」(ラスターフォント)を示す形式だが、ファイル名は「USERFONT」に限定されている。)
(外字エディタでの「ビットマップ フォントの取り込み」) (参考:システムの「フォント」フォルダ)
(Windows Vista)
TrueType フォント (アウトラインフォント)[.ttf]
MicrosoftとAppleが共同開発、1990年発表の 歴史の長いフォント。
輪郭線(アウトライン)の計算には「2次ベジェ曲線」が使われており
与えられた点の位置からその都度[一筆書き]の要領で輪郭線を計算し
閉じた輪郭線の内部を埋めることにより、字形を描画する。
広く一般に用いられるが、極端に拡大すると輪郭部に直線が目立つ。OpenType フォント (アウトラインフォント)[.ttf][.ttc][.otf]
開発にAdobe社が加わり、TrueTypeを拡張して Adobe社開発による
PostScript系の技術も盛り込めるようにした、やや新しいフォント。
輪郭線(アウトライン)の計算には「3次ベジェ曲線」も使われるため
総じて TrueTypeよりも高品位とされ、拡大や商業印刷などにも向く。
拡張子には TrueType系 [.ttf]/[.ttc] と PostScript系 [.otf] がある。TrueType コレクション フォント (アウトラインフォント)[.ttc]
複数の TrueTypeフォントを内包した 一種のパッケージファイルで
文字幅や書体などに差異がある 複数の TrueTypeフォントを
一括してインストール/アンインストールできるファイル形式。
フォントを利用する際には、まとまったパッケージではなく
個々の TrueTypeフォントとして、別々に用いることになる。ラスターフォント (ビットマップフォント)[.fon]
正方形に区切ったマス目を埋める箇所の印象により字形を表現する。ベクターフォント (アウトライン(スケーラブル)フォント)[.fon]
輪郭を示した座標から輪郭線を計算し内側を埋めて字形を描画する。両者ともすでに古い形式であり、現在主流の各種フォントに比べると
輪郭の計算が少ない分 CPUの負荷も少ないが、字形の荒さが目立つ。
• TextSerice のリンク
プルダウンメニュー「編集(E)」>「TextSerice のリンク(T)...」
(「編集」画面の表示時のみ利用可能)
「TextSerice へのリンク」画面が表示されるものの
「EUDC にリンクできるアクティブな TextService がありません。」
との警告メッセージが表示される。
自由に作成可能な外字は TextSerice と親和性があるとは考えにくく
実質的に利用不能であるものと思われる。
(「TextService」については こちら や こちら を参照。)
• トピックの検索
プルダウンメニュー「ヘルプ(H)」>「トピックの検索(H)」
「Windows ヘルプとサポート」画面が単に表示される場合(Windows 8.1 , Windows 7)がある一方、
「Windows ヘルプとサポート」画面の中にある項目を選択することで
Microsoft 社の「外字エディタ」に関するサポートページを参照にいく場合(Windows Vista)と
WEBブラウザで直接 Microsoft 社のサポートページを参照にいく場合(Windows 10)とがある。
「Windows ヘルプとサポート」画面の説明だけでは不十分と思われる上に
Microsoft 社のサポートページは「お探しのページは見つかりませんでした。」等となり
直接には参照できなくなっているため、実質的に無意味。
(参照したいサポートページは、おそらく こちら または こちら と思われる。)
「Windows ヘルプとサポート」
(Windows Vista)
• バージョン情報
プルダウンメニュー「ヘルプ(H)」>「バージョン情報(A)」
「外字エディタ(ー)」自体のバージョン情報が表示されるものと期待されるが
なぜか Windows システムのバージョン情報が表示されるようになっている。実質的に無意味。
Windows XP Windows Vista Windows 7 Windows 8.1 Windows 10
GaijiSupporter 外字サポーター 外字エディタの利用、フォントと外字ファイルとのリンク、個々の外字の管理などをサポートします。 サンプルの外字と管理用データも付属しており、外字の作成や管理が わかりやすく 楽しくできます。 | ||
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Frame Capture フレームキャプチャー 画面の一部を画像に切り取る、画像キャプチャ用のソフトウェアです。 切り取る枠の大きさはフレームで調節して、画像の作成や管理が わかりやすく 楽しくできます。 | ||
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RosettaCalc ロゼッタカルク 多言語・多桁計算・記数法表現も可能な 電卓ソフトです。単に大きな文字で見やすい電卓としても使えますが 無量大数から涅槃寂静までを含む 漢数字の表現、蘇州号碼や算木、ローマ数字やギリシア数字、英語の巨大数、 点字やヒエログリフなどの数値表現、マヤの20進法、それに楔形文字を使ったバビロニアの60進法なども得意です。 | ||
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UniCharFinder ユニキャラファインダー 文字定義の追加予定を含めた 完全な一覧も利用できる、Unicode文字の調査用ソフトウェアです。 文字の説明や異体字表現も参照でき、結合文字を分解して要素を調べたり、探した文字を直接利用したりできます。 説明はコピーや編集も可能で、文字数で最多を占める「漢字」には 特に多彩な検索方法を用意しています。 | ||
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